こっくりさんはいつ流行ったのか
大きく2回あります。
① 明治期 … 伝来して流行した時期
② 戦後 … 学校で流行した時期
**この2つは性質がまったく違います。**混同されやすいので分けて書きます。
① 明治期の流行
大人が中心でした。
・[テーブルターニング](/table-turning/)が伝来し、日本で形を変えた
・知識人が調査・実験の対象にした
・新聞や雑誌で取り上げられた
この時期の特徴は「検証された」ことです。
現象を否定するのではなく、 まず何が起きているかを観察し、条件を変えた実験が行われました (→ 明治の知識人はこっくりさんをどう見たか)。
「流行」と「その説明」が、ほぼ同時に起きています。 これは欧米でテーブルターニングと不覚筋動の概念が 同時期に現れたのと同じ構造です。
時期は【明治10年代後半】とされます。
ただし「検証されたから穏やかだった」わけではありません。
明治期にも、実害が出ていた(東洋大学史ブックレット6)
・夫婦が離縁した
・詐欺事件が起きた
・病人に「死期」を告げた
これは戦後の流行で起きたことと、性質が重なっています。
だから「明治は科学的、戦後は非科学的」という対比は正しくありません。
違いは【検証が並走したかどうか】です。
② 戦後の流行
子どもが中心になりました。
・学校で流行した
・集団での体調不良が報じられた
・禁止が語られるようになった
この時期の特徴は「社会問題化した」ことです。
明治期のような検証ではなく、 「危険な遊び」という枠組みで扱われました(→ 社会問題として語られた時代)。
2つの流行の対比
| ① 明治期 | ② 戦後 | |
|---|---|---|
| 担い手 | 大人 | 子ども |
| 場所 | 家庭・座敷 | 学校 |
| 扱われ方 | 検証の対象 | 危険な遊び |
| 語られ方 | 新聞・雑誌・研究 | 報道・禁止 |
| 実害 | 離縁・詐欺・病人への宣告 | 体調不良の集団発生 |
| 残ったもの | 不覚筋動という説明 | 「やってはいけない」という認識 |
最後の行が重要です。
明治期に説明が出ていたにもかかわらず、 戦後に残ったのは説明ではなく禁止のほうでした。
「なぜ動くのか」を知らないまま「危ないもの」として伝わったことになります。
なぜ説明が受け継がれなかったのか
確認できる根拠はありませんが、構造としてはこう考えられます。
説明は覚えにくく、禁止は覚えやすい
「参加者の自覚のない微細な筋肉の動きが〜」 … 伝えるのが難しい
「やってはいけない」 … 一言で伝わる
口伝えで広がる遊びでは、簡潔なほうが残ります。
このサイトが原理を書いているのは、 受け継がれなかった側を置き直すという意味があります。
「いつから」という問い
サジェストに「こっくりさん いつから」があります。
答えは「明治期から」になりますが、正確には2段階です。
明治期 … 日本に伝来し、こっくりさんという形になった
戦後 … 学校の遊びとして定着した
現在イメージされる「教室でやるこっくりさん」は、後者の姿です。
現在は流行しているのか
確認できません。
・現在の児童・生徒がやっているかどうかの調査を見ていない
・ただし検索はされている(このサイトが存在している理由)
・創作の題材としては繰り返し使われている
推測で書きません(→ 令和のいま)。
まとめ
- 大きな流行は2回です。明治期と戦後
- 明治期は大人が中心。検証の対象になりました(時期は明治10年代後半)
- 明治期にも実害は出ていました(離縁・詐欺・病人への宣告)。 「明治は科学的、戦後は非科学的」という対比は正しくありません
- 戦後は子どもが中心。危険な遊びとして社会問題化しました
- 明治期に説明が出ていたのに、戦後に残ったのは禁止のほうでした
- 理由は説明は覚えにくく、禁止は覚えやすいから
- 現在イメージされる姿は戦後の学校の遊びのほう
出典
東洋大学史ブックレット6
https://www.toyo.ac.jp/dp/enryo/booklet06/pageindices/index20.html
→ 明治10年代後半の大流行と、当時の実害についての記述
井上円了『妖怪玄談』1887年(明治20年)/青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/001021/files/49375_40185.html
確認日:2026-08-26
戦後の流行については、年・学校名・件数を書いていません。 裏の取れる資料を確認できていないためです(→ 社会問題として語られた時代)。