こっくりさんとウィジャボード

ウィジャボード(Ouija board) は、欧米で使われている文字盤です。

こっくりさんと仕組みはまったく同じですが、 たどった道筋が決定的に違います。


どういうものか

・アルファベット(A〜Z)、数字(0〜9)、YES/NO/GOODBYE が書かれた板
・「プランシェット」という小さな三角形の道具を、全員で指を置いて動かす
・プランシェットが指す文字を読んで、答えを組み立てる

こっくりさんの硬貨にあたるのがプランシェットです。 文字盤の上を滑らせるという構造は同じです。


こっくりさんとの対応

ウィジャボードこっくりさん
文字盤印刷された板(製品)紙に手書き
動かすものプランシェット(専用の道具)硬貨(10円玉)
文字アルファベット・数字五十音・数字・鳥居
呼び出す相手霊全般狐(狐狗狸さん)
入手買う自分で作る
仕組み不覚筋動不覚筋動

**最大の違いは「買うか、作るか」**です。


「商品になった」ことの意味

ウィジャボードは、19世紀末のアメリカで商標登録され、玩具として販売されたとされます。

この一点が、その後のすべてを分けています。

商品になった影響
 ① 形式が固定された(盤のデザイン・文字の配置が統一される)
 ② 誰でも同じものが手に入る → 地域差が生まれにくい
 ③ 玩具売り場に並ぶ → 「遊び」として広く認知された
 ④ 製造元が管理する → 現在も入手できる

こっくりさんは逆です。

自分で作る影響
 ① 形式が固定されない(文字の並び・鳥居の有無に地域差が出る)
 ② 口伝えで広がる → 手順にばらつきが出る
 ③ 商品として管理されない → 「正しいやり方」を定める主体がいない

「こっくりさんの正しいやり方はどれか」という問いに答えが無いのは、これが理由です (→ 別の呼び方と地域ごとの違い)。


呼び出す相手の違い

ここに文化の差がはっきり出ます。

ウィジャボード … 「霊」全般。特定の存在を指定しない
こっくりさん   … 【狐】を呼ぶ形が広く伝わっている

こっくりさんが狐と結びついたのは、日本に狐憑き・稲荷信仰という 在来の枠組みがあったためとされます(→ なぜ「狐」なのか)。

外来の遊びが、その土地の信仰と接続されたという点で、 こっくりさんは民俗学的に興味深い例になっています。


現在の扱われ方

ウィジャボード … 現在も玩具として販売されている。映画・小説の題材にもなる
こっくりさん   … 商品は存在しない。紙と硬貨で作る

「オンラインこっくりさん」のようなアプリも存在しますが、 これは仕組みが根本的に違います。

アプリは【プログラムが答えを決めている】
  → 不覚筋動は関与していない
  → 参加者の予期が反映されないので、現象としては別物になる

このサイトではアプリ版を主題にしません(keywords.md の除外方針)。


作品のなかのウィジャボード


まとめ

  • ウィジャボードは欧米の文字盤。こっくりさんと仕組みは同じ(不覚筋動)
  • 最大の違いは買うか、作るか
  • 商品化されたことで、ウィジャボードは形式が固定され、地域差が生まれませんでした
  • こっくりさんに「正しいやり方」が無いのは、自分で作るものだから
  • 呼び出す相手も違います。こっくりさんは狐と結びつきました(在来の信仰と接続された)
  • アプリ版はプログラムが答えを決めているので、現象としては別物です

関連