こっくりさんは「迷信」なのか
「迷信」と呼ぶと、切り捨てになってしまいます。
それが正確かどうかと、それが有効かどうかは別の問題です。 両方を見ていきます。
「迷信」という語が指すもの
迷信 … 根拠が無いのに信じられていること
この定義に当てはめると、部分的には当てはまります。
◎ 当てはまる … 「霊が来て答えている」という理解
✕ 当てはまらない … 硬貨が動くという現象そのもの
現象は実際に起きています(→ 嘘なのか)。 起きていないものを信じているわけではありません。
「迷信」と呼ぶことの問題
体験した人の実感を否定することになります。
「迷信だよ」と言われた側は、
↓
「動いたのを見ていないから言えるんだ」と受け取る
↓
説明が届かなくなる
実際に動いたのを見た人にとって、「迷信」は事実に反する言葉に聞こえます。
明治の知識人が取った姿勢は、これを避けています。
✕ 「迷信だ」と切り捨てる
◎ 「起きていることは認める。そのうえで説明する」
正確に呼び分ける
要素ごとに分けると、どれも別の語になります。
| 要素 | 適切な呼び方 |
|---|---|
| 硬貨が動く現象 | 不覚筋動(説明がついている) |
| 集団での体調不良 | 集団心因性疾患(説明がついている) |
| 「霊が答えている」という理解 | 解釈(説明としては不要) |
| 遊びとしての手順 | 伝承・民俗 |
| 学校で広がった経緯 | 都市伝説・学校の怪談 |
「迷信」で全部をまとめると、この区別が消えてしまいます。
「都市伝説」という呼び方
こちらのほうが適切な場面が多いです。
都市伝説 … 口伝えで広がり、変形しながら残る話
こっくりさんは、この性質を持っています。
・口伝えで広がった
・地域ごとに形が違う(→ 別の呼び方と地域差)
・作者がいない
・繰り返し語り直される
ただし「実演するもの」なので、純粋な都市伝説とも少し違います (→ 学校の怪談)。
「妖怪」という呼び方
狐狗狸さんという存在の名前として扱われることがあります。
・妖怪事典の類に立項されることがある
これは後付けの整理です。
もともとは現象の名前であって、存在の名前ではありませんでした。 現象 → 名前 → 存在という順序で実体化しました(→ 姿)。
このサイトの立場
◎ 言えること … 「起きていることには説明がつく」
✕ 言わないこと … 「迷信だ」
✕ 言わないこと … 「本当に霊が来る」
「迷信だ」を言わないのは、遠慮ではありません。
正確でないからです。
現象は起きている … 迷信ではない
解釈は説明に不要 … これは「迷信」に近い
手順は伝承として実在 … 迷信ではなく民俗
一つの語でまとめられないというのが、正確な答えです。
「信じるか信じないか」という問い
この問いも、3つに分かれます。
① 硬貨が動くと信じるか … 動く。信じるも何もない
② 誰かがわざと動かしていると思うか … 多くは違う
③ 外部の存在がいると思うか … これは各人の判断
このサイトが立ち入らないのは③だけです。
①②には答えがあります。 ③は、この現象からは分からないというのが答えです。
まとめ
- 「迷信」で全部をまとめると、区別が消えてしまいます
- 現象そのものは迷信ではありません。実際に起きています
- 「迷信だ」と言うと、体験した人の実感を否定して説明が届かなくなります
- 要素ごとに呼び分けます。不覚筋動/集団心因性疾患/解釈/伝承/都市伝説
- 「都市伝説」のほうが適切な場面が多いです。ただし実演するものなので少し違います
- 「妖怪」は後付けです。現象 → 名前 → 存在の順で実体化しました
- このサイトが立ち入らないのは**「外部の存在がいるか」だけ**です